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Channel: ヤマネ製作所な日々
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第84呟【単3形リチウム電池を分解する】

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 かつて秋月電子通商で取り扱っていたリチウム一次電池で、ネクセル製1.5V単3形LFB_AAの捨てられなかったのがあったからバラしてみた。リチウム一次電池なら真っ先に3Vの製品を思い浮かべるけれど、単3形電池と置き換え可能な1.5V出力タイプのものも存在している。3Vタイプは正極材に二酸化マンガンを、1.5Vタイプは硫化鉄をそれぞれ使っているのが特徴。

 高輝度改造LEDライトで単3形リチウム電池を装填し1A以上の連続放電を続けていると、時々たった数分間の使用で消灯してしまい、開放電圧が1.6V以上あるのに電流を取り出せない現象に出くわすことがあった。大して使ってもいなく容量的にはまだ十分残っているはずなのにである。原因を推測するならば、大電流で放電すると負極集電板付近のリチウム箔が優先的に溶けてしまって、その先の未反応負極リチウム箔が取り残されてしまうからではないかと考える。

 これを立証するにはそういう状態になっているセルを分解して、未反応負極リチウム箔がしっかり残っていることを確認すればいい。

 

 [分解した時の手順]

イ)対象電池の開放電圧を測定して1.6V以上あるけれどLEDライトに入れても点灯しないことを確認しといた。
ロ)外装を保護しているフィルムをベリベリと剥がした。
ハ)正極カシメ部分の丸い保護シールは簡単に剥がせた。
ニ)ショートに気を付けながらカシメ部分をニッパーで噛んで起こしてった。
ホ)一周すると正極端子がガスケットごと取り外せるから思い切って引き千切った。
ヘ)さっき起こしたカシメ部分からニッパーを使い鉄製外装缶を円周に沿ってリンゴの皮剥きみたいに剥がしていった。
ト)そうすると剥いた外装缶が縦ロールみたいな長い螺旋状になった? ま、剥き方はヒトそれぞれだから。
チ)筒底の方まで剥き終わると、漸く簀巻きみたいな電池の本体を抜き出せた。
リ)電池本体の負極集電板がどうやったか判らないけれど筒底に溶接?されていて簡単に抜けなかったけど。
ヌ)仕方ないから筒底の負極集電板スポット部分を引きちぎってようやく簀巻き本体が取り出せた!
ル)抜き出した簀巻き本体に巻いてある薄い保護フィルムを剥がした。
ヲ)するとロール状に巻かれてあるセパレーターフィルムを解くことができた。
ワ)この辺りから少しづつ有機電解質の溶媒が蒸発してきてほんのりと甘い香りがしたね。
カ)酔ってるうちに乳白色のセパレーターをスルスルと解いていくと少しづつ発熱してきた!
ヨ)アルミ箔に塗布された正極活物質である硫化鉄のカーボン練りがボロボロと剥がれ落ちてきた!
タ)セパレーターに挟まれてちょっと発熱ぎみなのが負極リチウム箔で、予想通り十分残ってた!
レ)ここまでバラすと酸化発火する可能性が高いので全てを水没させた。
ソ)正極の硫化鉄カーボン練りは水に溶けると緑色に変化して指先がヌルヌルしてきた!
ツ)セパレーターに挟まれてたリチウム箔の残渣は激しく水素泡を吹き出しながらジュージューと溶けてった!
ネ)硫化鉄カーボン練りがヌルヌルしたのは放電したLi+と水とで強アルカリな水酸化リチウムを生成したから。
ナ)もちろんリチウム箔の残渣が水に溶けたものも同じくヌルヌルで指紋が無くなったね。
ラ)それと硫化鉄カーボン練りが水に溶けて緑色になったのは2価鉄イオンの色が出たからかな。
ム)恐らく新品をバラすと簀巻きは綺麗に抜けるけれど、放電後のは膨張してるからパツパツになってたのかも。
ウ)いずれにしても負極リチウム金属箔は取り扱いを誤ると容易に火を噴くからその性質をよく熟知されたし。

Img_08381

※分解は各人の判断にて行い、それによって生じる責任を負うこともお忘れなきよう。


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